当院で良く相談される症状の一つに不眠症があります。
・「布団に入っても中々眠ることができない、次の日に疲れを残して仕事に行かなきゃいけなくなるので、寝よう寝ようと思うほど寝つけなくて。明け方まで寝られず仕事に行くことにねり日中も眠たいという日が続いています。」
・「睡眠時間はとれているのに、疲れが残る重だるくてイライラしてしまう。」
・「夜すぐに寝付けるのですが、途中で目覚めてしまい布団の中で寝られない疲れたまま仕事をするので仕事にも集中できず毎日つらい。」
この様な訴えを聞くことがものすごく多いです。
私も寝られなかった経験があるので、寝ようと頑張る事が精神的にも肉体的にも負担になってきます。
現代日本ではこのような悩みの方が増えております。
ここでは不眠症の原因、不眠に対して自分でできる事をお伝えさせていただきます。
私は正しいアプローチをすれば誰もがぐっすり眠れて、スッキリ起きていきいきと生活する事ができると考えています。
目次
・不眠症の診断基準
・不眠の種類
・不眠の原因
・不眠症を解決する8つの方法
・それでも不眠症にお困りなら
不眠症の診断基準
不眠と不眠症は似ていますが違いがあります。
不眠は寝られない状態であり、誰もが一度は経験があると思います。病気という事でもなくこれだけでは不眠症とは言われません。
厚生労働省が出しているe-ヘルスネットによると
不眠症とは、入眠障害(寝つきが悪い)・中途覚醒(眠りが浅く途中で何度も目が覚める)・早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)などの睡眠問題があり、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
とあります。
①睡眠に関する種々の問題が1か月以上継続的に続いている事
②睡眠の問題によって不調があり苦痛を感じている
この二点が揃うと不眠症と診断されます。
1ヶ月以上続いて苦痛があるというのがポイントですね。
不眠の種類
不眠のタイプには大きく分けて4タイプあります。
①入眠障害
不眠の悩みで一番多いものです、布団に入っても寝付けない状態。布団に入っても深夜や明け方まで寝られないなんて経験は私もあります。
非常に辛いんですよね。
②中途覚醒
一旦寝られるのですが途中で目覚めてしまう状態。寝つきはいいのに2時間くらいで目覚めてしまう、何回も目覚めてぐっすり寝られない。という訴えはしばしば耳にします。
年齢に伴って中途覚醒の回数は増える傾向にあります。
起きてすぐ寝られればいいのですが、再入眠できない、何度も起きてしまう、日中にひどい眠気がでてしまうなどの場合は障害とみなされます。
③早朝覚醒
起きる予定だった時間よりも1~2時間以上早く起きてしまう状態。
7時に起きようと思っていたのに5時に目覚めてしまい、もう少し寝ようと思っていても寝られないで結局寝たりないまま出勤するなんて方もいます。
若い頃は二度寝なんて余裕だったんですけどね(笑)高齢者の方には高頻度でみられ、うつ病に特徴的な睡眠障害とも言われております。
④熟眠障害
睡眠時間はしっかりとって寝ているのに深く寝た気がしない。寝てるんだけど疲れが取れない、日中だるい、眠くてボーっとしてしまう。そんな方が多いです。
色々検査をしても問題がないと言われる事も多いのがこのタイプです。
上記4つに当てはまらない方もいると思いますが、大多数がこの4っつに当てはまります。
不眠の原因
睡眠学、医学的な不眠の原因には5Pという原因があります。
①身体的要因(physical)
身体に何か障害があって眠れなくなる不眠
例 肩こりがひどくて気になって寝られない、横になると腰が痛くて眠れない、アレルギー性鼻炎で鼻詰まりがひどくて寝られない、アトピーで身体がかゆくて眠れないなどがあります。
②生理学的要因(physiologic)
生理的な要因によって眠れなくなる不眠です。
例 海外に行って時差ボケで眠れない、夜勤など含めた3交代勤務などでリズムがバラバラになって眠れない、看護師さん消防士さん、警察官の方なんて多いですよね、夜更かしが常態化して昼夜逆転してしまいいざという時に寝られない。
③心理学的原因(psychologic)
心理的な要因によって眠れなくなる不眠です。
例 精神的なストレスが強くて眠れない、引っ越し、転職、転校、結婚、離婚等生活状況が大きく変化して眠れない
④精神医学的原因(psychiatric)
精神的な病気によって眠れなくなる不眠
例 うつ病、不安障害、パニック障害によって眠れない。
⑤薬理学的原因(pharmacologic)
薬の作用によって眠れなくなるもの
例 コーヒー、緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインによって眠れなくなる、利尿薬を飲んだら眠れなくなる、ステロイド使っていて眠れない
不眠に悩んでいる人はほとんどの方がどれかに当てはまるか複数当てはまるという方もおります。
ただ睡眠医学的にはこれらが当てはまると言われておりますが…
実際、患者さんとお話しているとその原因は3つに集約されると思っています。
①眠れない睡眠環境
家や寝室の騒音レベルが高い、寝室の状態、掃除をしていなくてほこりがある、温度湿度、光環境、におい、ふとん、マットレス、枕、パジャマなど
②眠れない生活習慣
食事の習慣、いつどのようなものをどれくらいの量を食べるのか、運動の習慣、どのような運動をいつ、どれくらいどこでするのか、入浴習慣、いつお風呂に入るのか、湯船につかるのかシャワーだけなのか、寝る前のルーティーン、スマホやタブレットを見てしまう、お酒やコーヒーを飲んでしまうなど。
睡眠に適さないような習慣になってしまっていることにより起こる不眠。
③眠れる身体になっていない(精神的なものを含めて)
特に病気などはないけど、自律神経が乱れてしまっている。常に緊張状態が続いていたり、精神的なストレスを受けやすい、肉体的なストレスが大きい、猫背など姿勢のゆがみによって呼吸が浅くなっている事によって起こる不眠、肥満で無呼吸になってしまっている等。
私が治療している中では上記の3つがほぼ当てはまることが多いです、特に③の身体の原因が多いです。
特に当院は自律神経に特化した治療院なので交感神経緊張型の自律神経障害の方が多いイメージです。
不眠症を解消する8つの方法
①毎朝同じ時間に起きる
これ、意外に盲点だと思います。毎日同じ時間に寝ないといけないんじゃないの?と言われる事も多いです。
人間が眠たくなるのにはリズムがあり、リズムが作られると毎日決まった時間に眠たくなるのです。
現代人は忙しいので色々なスケジュールで寝る時間もまちまちになってしまう事も多いので、毎朝同じ時間に起きることにより寝る時間も整ってくるというイメージをもってもらうと良いです。
②朝起きたら日光を浴びる
一日は24時間ですが体内時計は24時間よりも少し長く設定されているのです。これをリセットするのが日光を浴びることなのです。テレワーク等で外に出なくても良い方など日の当たらない真っ暗な部屋にずっといると、時間と体内時計がどんどずれていってしまいます。毎朝同じ時間に起きて太陽の光を浴びることによりリズムが作られます。
③睡眠時間ばかりにとらわれない
睡眠に悩んでいる方に多いパターンとして〇時間寝られている、〇時間寝なきゃいけないと時間を意識している方がとても多いです。
睡眠時間ももちろん大事なのですが、睡眠=睡眠時間×睡眠の質なのでいくら睡眠時間が確保できていても満足な睡眠を得られるというわけではないのです。
睡眠時間も大事なのですが足りないとそれがストレスになって日中余計に辛くなってしまうので、睡眠の質にも意識してください。
④睡眠の状態を正しく把握、理解する