鍼師としては衝撃的なニュースが入ってきました。
プロ野球選手の腰に刺したはりが折れてしまったということです。
SB松本開幕絶望 治療のハリ埋没 – Yahoo!ニュース
怖いですね、鍼は折れてしまうと皮膚の表面に鍼が出ていれば引っ張れば抜けますが…埋没してしまうと切開しなければ取り除けないのです…
ただ、ディスポ鍼(使い捨て鍼)が主流になった現在ではめったに起こる事はないと思っていたので衝撃でした。
同業者としては詳細が知りたいです。
厳密に言いますと他の物品と同じように工業製品なので折れないと100%断言する事はできません。
それでもめったにある事ではありません。
考えられるのは
①鍼が刺さっている状態で筋肉が強烈に動いた。患者さんが動いたり、くしゃみ等で筋層が激しく動いて折れてしまった。
②術者が無理な施術をした、私はあまりやりませんが例えば患部に刺さった鍼をグルグル回す捻鍼、鍼を刺したまま筋肉を動かす運動鍼等
③粗悪な海外製の鍼を使っていた等
④使いまわしの劣化した鍼を使っていた
が考えられます。
以前は鍼をオートクレーブという高温になる滅菌器に入れて使いまわしをしている院が多数ありました。
私が修行していた院でもそうです。毎日営業が終わると超音波洗浄機に鍼を入れそれをタオルで拭いてオートクレーブに入れてという事をやっていました。
何回も使用すると弱ってくるので目視で選別して処分していました。
私はその時から、安価に施術を提供できるのはいいけど安全性に問題があるなと疑問に思っていました。
ナマクラになった刀と同じで回数を使っていると刺すときに痛いのです。
なので私は独立した当初からディスポ鍼(使い捨て)を使用しています。
少なくなったとは言えまだその方式でやっている院もあると聞きますのでもしかしたらその可能性もあるのかなと思っています。
もしくはプロ野球選手ということで常人にはない筋力を持っている方だと思いますので、それにやられたのか…
でも鍼は柔軟性があるので曲がる事はあってもめったに折れる事はないと思うんですけどね。
あくまでも憶測ですので、詳細を知っている方がいたら当院までご連絡ください。
花粉症の季節ですのでくしゃみが出る際など当院でも注意喚起していきたいと思います。
ちなみに当院の鍼は100%ディスポ鍼です。
先端が丸く加工された鍼を使っているので鍼を刺入する際の痛みも少ないので去年の暮れから当院に来ている方も「前の鍼灸院では腰にうつと痛かったけどここのは平気です」と言ってくださっています。
私の腕が良いと言いたいところですが、鍼のお陰ですね(笑)
なんにせよ私も今まで以上に注意しながら施術したいと思います。
折鍼の事故を調べてみると、めまいが起きて倒れてしまったり怖がって動いてしまった時の事故が圧倒的に多いですね。
当院では怖がっている患者さんに無理に鍼を打つことはありません、鍼だけが施術方法ではないので他の方法を勧めます。
たまに困るのは、特に男性に多いのですが鍼を打つとビクッと筋肉が動くのにそれでも鍼をやりたいという方は無理をしない方が良いと伝えます。
女性で怖がりの方はそもそも鍼を打ちたいと言いませんのでそういう問題は少ないです。
特に初めての方は途中でキツかったら言っていただければ他の方法で施術しますのでご安心ください。
そして、もしこれを見ている鍼灸学生や免許取り立ての方がいるとしたら伝えたいのは…
治したいという気持ちが強すぎると事故が起きやすくなるということ…
矛盾しているようですが、治したいという気持ちは大事なんですが裏付けなくそのまま患者さんに施術してしまうこれが危険なんです。
初心者には治したい結果を出したいと思うあまり、無理をしてしまう事が多いのです。
まず患者さんの安全が第一です。
特に鍼は「知り合いが鍼で一発で治った」「以前ぎっくり腰で鍼打ったけど歩いて帰れた」等、良いイメージを持ってくる患者さんが多いです。
これが初心者にはプレッシャーになります、治せなかったらどうしようと…
でもそんなものは幻想です。
それはたまたまうまくいっただけのこと、どうにもならないケースもあるしその人の身体の状態にもよりますケースバイケースというのを施術前に患者さんに伝えましょう説明が問診と同じくらい大事です。
それによって無理をすることがなくなります。
どんなに一生懸命施術しても悪評はでます、私も神様みたいになんでも治したいと思いますが…そんなのはあり得ない話。
でも毎日施術して患者さんから学ばせてもらって疑問に思った事を勉強し続ける事によって良くする確率は上がります、そこを一生懸命やるべき。
それで信頼してくれる人が増えればそれでいいのです、極端に完璧を求める人に満足させようと思っても無理です。
そう思っている私でも油断すると10年以上キャリアがあってもそのムラッ気が出る事があります、何とか治してやろうという…
そういう時は、この刺鍼事故の本と学生時代に教科書として使っていた鍼灸医療安全ガイドラインの本を見るようにしています。
安全第一それを忘れずに精進したいと思います。
ではお大事にどうぞ
※人づてに聞いた話で切鍼事故の原因がわかりました、人づてに聞いた話ですのでここでの掲載は避けたいと思います来院時に興味がある方はお尋ねください。
少なくとも当院ではこの原因では起こり得ない事故ですのでご安心いただければと思います。